「本当に自分って教師に向いているんだろうか?」
「今後、教師という仕事を何十年と続けられるだろうか?」
って不安を感じるあなたのための記事です。
「10年後、20年後に、教員なんてやっぱりやめとけば良かった」と、ならないようにしたいですよね。
過ごした時間は、もう戻ってはきません。だから、今考えておく必要があります。
『科学的な適職』という書籍を参考にして、教師という仕事が「幸福を最大化する7つの要素」をどれだけ満たしているか一緒に考えていきたいと思います。
本記事を読んで、「やっぱり自分に教師は合っている!」って思えたら不安を払拭して前に進めるし、「自分は教師に向いてない」と思えば、退職や転職など、次に進むきっかけになります。
生きててよかったって思える良い人生にしたいですよね
書籍では「適職」の定義を「あなたの幸福が最大化される仕事」としています。
教師という仕事を選ぶときに、「教えるが好きだから」とか「給与がいいから」とかで選んだ人は、要注意です(←僕)。
そういった要素もあった方がいいけど、もっと大事なものがあるよ~ってこと。
教師になりたいって思って仕事を始めたけど、「なんだか苦しい」と悩む人には、書籍もぜひ読んでもらいたいです。
自分の仕事選びが本当に正しかったかを教えてくれる一冊です(本当は、就職前に読みたい)。
もし今、仕事を幸せと感じられないなら、適職じゃないのかもしれません。
① 自由:仕事内容や働き方に裁量権はある
② 達成:前に進んでいる感覚は得られる
③ 焦点:自分のモチベーションタイプに合っている
④ 明確:なすべきこと、ビジョン、評価軸が明確である
⑤ 多様:作業内容にバリエーションはある
⑥ 仲間:組織内に助けてくれる友人はいる
⑦ 貢献:どれだけ世の中の役に立っているかわかる
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
教師という仕事が、あなたにとって適職か考えましょう!
自由:その仕事に裁量権はあるか?
数ある研究のなかでも、「自由」ほど仕事の幸せを左右する要素はありません。
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
人にやらされるのって嫌ですよね。
やっぱり仕事も同じです。
当然といえば当然。
でも仕事選びのときに、“自由な職場”を優先して選ぶ人は少ないように思います。
自由に決められると良い要素として
- 作業する場所や作業スペース
- 作業するタイミング
- 仕事の内容や進め方
なんかがあります。
でも教員は普通、
✕ 職員室の場所や使用できる広さは固定されている
→作業する場所や作業スペースが決められている
✕ 勤務時間や時間割がある
→作業するタイミングは選べない
△ 担当業務は、ある程度自分のやり方で進められる
→適任者がいない事などを理由に、無理やり仕事を引き受けることもある
教師という仕事は、あまり自由度が高いとは言えなさそう。
出勤時間を選べないし、リモートワークもできません。
結局のところ、教師が自由度を高めるには、
自分がやりたい仕事を選べるのか、自分のやり方やペースで進められるのか
が大事になりますね。
教師の仕事は、大きく4つ。それらを自分で意志決定できるか?
- 担任業務:学級経営について、自分で方針を決められているか?
- 授業:授業の準備をする時間を確保でき、自分のペースで進められているか?
- 部活動:練習の内容や方法、練習日などを自分で決められているか?
- 校務分掌:決裁するのに多くの許可が必要だったり、自分の意見が反映されたりしているか?
その他、雑務がいっぱいあるのは、言わずもがな。
仕事をやる際、
管理職や同僚または保護者など他の人に裁量権を奪われていないか?
もう一度考えてみるといいと思います。
達成:前に進んでいる感覚は得られるか?
最近では、科学の世界でも「小さな達成」が仕事のモチベーションを大きく左右することがわかってきました。
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
つまり
少しでも前に進んでいる感覚があれば、やる気がでる
ってことですね。
これが、錯覚でもOKっていうのも驚きです。
自分の仕事を振り返ってみて、前に進めている感覚がありますか?
答えがノーなら、適職とは言い難いのかもしれません。
教師の仕事で、前に進んでいると感じやすいのは自身の成長だと思います。
たとえば
- 生徒や保護者との関係づくりがうまくなった
- 教科の専門性が高まった
- 事務的な処理が速くなった
- 校務分掌で成果が出せるようになった
自分のことは、比較的コントロールしやすいですもんね。
逆に、前に進んでいると感じにくいのは生徒の成長だと思います。
- 「あれだけ毎回、言っているのに…」なんで、全然良くならないのかな
遅刻、忘れ物、ケンカ、宿題の未提出、居眠り、成績不振(欠点)…。
生徒と毎日関わっていると、自分が一生懸命に取り組んでいるにも関わらず、生徒の変化が感じられなくて、気持ちが沈むときがあります。
ずっと同じことを言い続けたり、学級での取組を継続させたりしながら、ようやく成長してきたかな?って感じだと思います。
成長を感じるまで早くて数か月~1年後(もしくはそれ以上)とか、すごく時間がかかるし、それがわかりにくかったりする
だから、なかなか前に進まないなっていう感覚の先生も多いと思います。
前に進んでいる感覚を得たいなら、自分に関することの方がやりやすい!
生徒の成長を感じたい人は、生徒への言葉かけを工夫することも良いかもしれません。
「○○君、あいさつの声大きくなったな~」
「今日は忘れ物しなかったな。成長したな~」
と生徒に声をかけてあげて、
「生徒は成長している」って自分に錯覚させる
というのも、一つの手段かもしれません(この言葉かけで、生徒もモチベーションが上がる)
他人を変えることは難しいけど、自分は変えられるってことを活かして、達成感を得られるようにしたいですね。
前に進んでいる感覚は得られるか?
焦点:自分のモチベーションタイプにあっているか?
人間のパーソナリティを「攻撃型」と「防御型」の2タイプに分ける考え方で、おもにコロンビア大学などの研究で、仕事のパフォーマンスアップ効果が証明されてきました。
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
これらの有効性は20年を超える研究で裏付けられているそう。
信頼してもよさそうです。
2つのタイプをざっくりまとめると、
【攻撃型】
競争に勝つのが好き。金や名誉などの外的な報酬に強く影響を受ける。
【防御型】
自分の義務を果たすのが最終的なゴールである。安全な場所がいい。
自分がどちらの「型」なのか自覚して、それに合った働き方をしたほうが能力を発揮しやすく仕事の満足度も高まる
みたいです(書籍では、質問に回答すると、自分の「型」がわかるようになっています)。
性格(自分の「型」)と職業が一致していない人は、幸せを感じにくいってことです。
極端な例ですが、
- 戦うことが嫌いなボクサー
- スリルが嫌いな綱渡り職人
って、たぶん辛いと思います。
もともと自身に備わっている感覚(衝動)も大切にした方がよさそうです。
教師に必要なモチベーションは
- 困っている子どもを見捨てることができない
- 規範意識の低い子どもを見ると、直したくなる
- 子どものちょっとした成長がたまらなく嬉しい
などだと思います。
僕の印象では「防御型」の人の方が満足度が高い気がします
1日の仕事を振り返って、
何が自分をモチベーションとしているのか
考えてみるといいと思います。
そのモチベーションと仕事内容が大きくかけ離れている場合は、適職とは言いづらいかもしれません。
自分を知るって、すごく大事。
普段の生活の中で、ついついやってしまう行動を思い出して、なぜそうしたいのか分析していくと、何か見つかるかもしれません。
自分のモチベーションに素直に従うっていうことも大切だねって教えてくれる本↓
仕事は、自分のモチベーションタイプにあっているか?
明確:なすべきことやビジョン、評価軸ははっきりしているか?
「学校がどんな価値観で動いているかわからない」
「自分のやっている仕事がどう役立つのかわからない」
「担任や校務分掌といった仕事の範囲は、どこまで責任を持てばいいのかわからない」
「管理職の言うことが違う」
というのは、よくあることではないでしょうか?
自分のなすべきこと、方向性がはっきりしていないと、幸福度を大きく悪化させる原因になるようです。
教師を目指したときを思い出して
どのような教師になって何をやりたかったのか
をはっきりさせるといいと思います。
そんなものないって人は、教師をしていても幸福感を感じにくいかもしれません。
学校として目標やビジョンが(形だけでなく意識として)職員で共有されていないと苦しいですもんね。
学校が何を大事にし、どんな目標に進んでいるのか、はっきり感じ取れることが大切です。
「何のためにこれやるの?」と意義をわからずにやるのは辛いです。
校長による職員の評価が行われますが、具体的に何をどうしたら評価が高くなるか理解している人は、少ないと思います。
僕は全然わかりません(笑)
学習指導、生徒指導、進路指導で成果を挙げるっていう、曖昧な感じだからです。
結局、校長の好き嫌いで嫌いで決まるんじゃないの?って気持ちにも、ちょっとなったり、ならなかったり…
文部科学省『教職員表彰実施要項』
校長のビジョンが理解できれば、評価は良くなるのかもしれません。
なすべきことやビジョン、評価軸ははっきりしているか?
多様:作業の内容にバリエーションはあるか?
人間はどのような変化にもすぐに慣れてしまう性質があるため、たとえば宝くじで1億円当てようが、(中略)長くても1年ほどで幸福度は過去と同じレベルにもどってしまいます。
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
どんなに自分の得意分野だとしても、毎日、全く同じこと(単純作業)を繰り返しやっておけって言われたら幸福度は下がります。
でも、教師の仕事は、そんなことはないですよね。毎日、変化に富んでいます。
たとえば、授業の内容は同じであったとしても、別の学級の生徒に授業をしたり、毎日生徒の調子が変わったりして、
日々繰り返しのように見えて、全然違います
校務分掌に至っては、学習、生活、保健、交通…、その他にも、部活動、保護者対応、生徒対等、備品設備の管理…など、やることが無限にあるので、バリエーションはかなり多いです。
じゃあ幸せか?って言われると、幸せじゃなくて辛いって人も、それなりにいると思う。
仕事の多さのせいで、長時間労働になって大変なんですよね。
↑インターネットの紹介記事で見て、うつ病のシーンが心に響きました。
生徒のためにやるけど、家庭や体を犠牲にするまで頑張る必要はないと思う。家では、たった一人のお母さんとお父さんですもんね。
仕事で変化を感じられる幸せよりも、仕事の多さによる不幸が勝って、トータルで不幸になる人もある程度いると思ってます。
長時間労働は仕事における不幸となる原因の一つだからです
でもまあ、教師の仕事はバリエーションに富んでいることは違いないと思います。
作業の内容にバリエーションはあるか?
仲間:組織内に助けてくれる友人はいるか?
・職場に3人以上の友達がいる人は人生の満足度が96%も上がり、同時に自分の給料への満足度は2倍になる
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
・職場に最高の友達がいる場合は、仕事のモチベーションが7倍になり、作業のスピードが上がる
仕事やメンタルを支えてくれる人がいるだけで、日々の満足度が大きく変わるというのは実感としても分かりやすいですね。
- 一緒に仕事をする人からのサポートや協力を得られているか?
- 精神的につらくなったとき、話を聞いてもらえるか?
など、助けてくれる存在がいる職場が、適職。
自分の性格にあった人がいるかどうかが本当に大事です
公立学校の場合、毎年メンバーの入れ替わりがあるので、助けてくれる存在が常にいる状態をつくることは大変かもしれません。
人に頼ることが得意な人は大丈夫かもしれませんが、自分で抱え込んでしまいがちな人は苦しくなりやすいと言えます。
みんな忙しいので、他の人をサポートしたり、手伝ってくれたりする人は、多くはないかもしれません(僕も、自分のことでいっぱいいっぱいで、後輩教師を助けてあげる余裕がないから、ごめんと思う)。
組織内に助けてくれる友人はいるか?
貢献:どれだけ世の中の役に立つか?
「自分の行為が他人の役に立った」事実を可視化しやすいかどうかであり、その点ではエンドユーザーとのふれあいが多い仕事や、クライアントと直にやり取りできる職業の方が有利なのは間違いありません。
引用元:『科学的な適職』鈴木祐 (著)
工場での単純作業に従事する人は満足度が低い一方、他人の人生を守る要素を持っているような仕事が満足度が高いのだそうです(アメリカでは、聖職者、理学療法士など。教育関係者は4位)。
こういった研究からは、教師は満足度の高い仕事と言えそうです。
工場勤務だと、自分が製作に関わった製品をお客が使う場面(喜んでいる姿)を見る機会が少ないから、満足度は低くなりがちっていうのは納得です。
教師は
生徒の変化を直接見られるので、自分の仕事で「貢献してる!」って感じやすい
ということですね。
一方で、関わった生徒がなかなか思うように成長してくれないこともあるため、その場合は逆に満足度は低くなるのかもしれません。
学校教育が10年や20年先の生徒の人生を変えることだってあると考えれば、教師の仕事は結果が見えるのが、きわめて遅いとも言えそうです。
ともあれ、教師の仕事は、役に立ったと実感しやすい仕事であることには違いないと思います。
どれだけ世の中の役に立つか?
まとめ 教師という仕事が、あなたにとって適職か?
①自由:仕事内容や働き方に裁量権はある
②達成:前に進んでいる感覚は得られる
③焦点:自分のモチベーションタイプに合っている
④明確:なすべきこと、ビジョン、評価軸が明確である
⑤多様:作業内容にバリエーションはある
⑥仲間:組織内に助けてくれる友人はいる
⑦貢献:どれだけ世の中の役に立っているかわかる
7つの要素のうち、いくつYESって言えそうですか?
人生、良くも悪くも自分の選択次第。
過去の選択が”今の自分”をつくっていますからね。
僕も頑張ろうと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ではでは。