「初めて担任をすることになったけど、何に注意すればいいんだろう?」
「なぜか学級経営がうまくいかない」
という悩みを抱える人の助けになればいいな、と思って記事を書きます。
失敗(実体験)から、学んだことをまとめました。
担任経験の有無にかかわず、気づきを得られると思います。
良い学級に変わっていく、きっかけになれば嬉しいです!
失敗① 生徒と会話をしなかった
初めて担任を受け持ったとき、あまり生徒と話(雑談)をしませんでした。
理由は2つ
- 僕が中高生の頃は、先生とほとんど話をしなくても平気だったから
- プライベートな話をして、生徒からナメられるのが嫌だったから(自分の指導が通らなくなるのが怖かった)
でも、
生徒と話(雑談)をしないと、どうなるかというと、
教師の発言に対して、生徒が何にでも否定的になります。
普通に考えて、そうだろ
って思う人もいるかもしれませんが、僕はこれが分かってなかったです。
生徒からすると、見知らぬ通行人から厳しく注意されるのと同じ感覚だったと思う。
「なんでお前から注意されないのいけないの?」
みたいな。
僕のプライベートや考えが伝わっていなかったから、親近感もないし、なぜそうべきなのかが全然分からなかったのだと思います。
日頃、会話があれば、なんとなく
「あなたのことを大事に思っているよ」
っていうメッセージも伝わります(否定的なこと言っていなければ)。
信頼のない関係の状態で、一方通行の要求だけは、うまくいきませんよね。
だからこの頃の生徒の反応は、屁理屈をこねるというか、素直さがなかったです。
たとえば、
僕
「教卓に提出されたプリントが風に飛ばされている。こういうときは、プリントを拾って教卓に戻すとか、窓をしめるとかした方がいいよ」
生徒
「だって、先生が教卓にプリントを提出しろっていったじゃないですか!」
僕
「いや、こういう場合は・・・」
みたいな感じですね。
ああ言えばこう言う状態でした。
結局、どちらが正しいかでなく、日ごろのやり取りがうまくいっていないと、相手を信じられなくなって、言うことを聞きたくなくなっちゃうんですね。
生徒に
「まあ この先生が言うなら仕方ないか」
って思ってもらえるような関係性をつくることが大切なのに、僕は放棄してしまっていました。
雑談って、すごく大事です。
会話が広がるときもあるし、そうじゃないときもあります。
雑談に苦手意識がある僕には、会話が広がらないと、うまくいかないな~って思うこともありましたが、「生徒も人間だから、気分が乗らないときもあるから仕方ないか」と割り切るようにしました。
数回、話のやりとりをして、話したくなさそうになったら、会話をやめて、別の生徒に話しかける。
これを繰り返しているうちに、生徒の反応も肯定的なものが多くなって、味方になってくれる生徒が出てきて、ちょっと信じられなかったです。
やっぱり雑談の効果すごいです!
時間割に ”雑談” っていう時間がほしいくらいです(笑)
朝、ちょっと早く教室に行き、職員朝礼までの時間、生徒と話をしていました。
(本音としては、自分の仕事を片付けたかったけど)
遅く登校してくる生徒と話はできませんでしたが、生徒づてに僕の話は伝わっていたと思います。
生徒から受けていたトゲトゲしい反応が、しだいに柔らかくなっていきました。
失敗② 小さなルールも完璧に守らせようとムキになっていた
日常生活で、生徒が守るべきものとして、
- 遅刻しない
- 授業中に私語をしない
- 提出物を期限内に出す
などがあると思います。
生徒が自分で反省して自然と良くなっていけばいいのですが、なかなかそうはならないですよね。
同じ失敗(遅刻、提出物忘れ等)を繰り返すっていうのは生徒も結構多い。
だから、そのたびに
遅刻や提出物が出せない生徒を、厳しく怒っていました。
責任感から「できるようにさせなければならない」と思っていたんですね。
叱るばかりの自分自身が本当に嫌でした。
こんな状況が続くと、学級が窮屈になって僕も苦しくなり、生徒同士でも争いが増えました。
悩んだ僕は、方針を切り替えることに…。
繰り返し注意はするが、強く怒ることはせず、やるかどうかはその生徒に任せる
犯罪行為や命に関わることに関しては、強引にでも止めますが、それ以外の小さな失敗は生徒自身に経験させ、本人がどうしたいかに任せるようにしました。
無責任に感じる方もいるかもしれませんが、些細なことにまで完璧を求めると、生徒も教師も疲弊して、本当に大事なことに神経を注げなくなります。
それに、
他人に決めてもらうことに慣れると、自己決定の意志が育たず、なんでも人のせいにするようになると思います。
大人が先回りをして、 手を掛けすぎて育てられた子どもの多くは、自律できなくなっていきます。そして、自分では解決できない問題やトラブルに直面すると、うまくいかない原因 を自分以外の周りに求め、安易に他人のせいにしてしまう傾向があるように思います。
出典:『学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革』工藤 勇一 (著)
方針を切り替え、割り切った考えをもてるようになってからは、気持ちが楽になり、周囲の先生からも「なんか表情明るくなったね」と言われるようになりました。
生徒との会話も、盛り上がりやすくなって、関係が良くなったと思います。
もちろん、すべての問題が解決したわけではないですが、こっちの方がいいです。
もし一緒にいる家族や友人がいつも不機嫌だったら、どう感じますか?
僕は嫌です。
それは大人も子供も同じだと思います。
失敗③ 欠席の連絡なしを軽く考えていた
欠席連絡がない事に対して軽く考えてました。
「昨日も休んだから、今日も同じ理由だろう」
「この子は欠席しがちだから、たぶん同じ理由で休みだろう」
みたいな感じです。
しだいに、自分の都合のいいように考えるように。
「今、仕事が忙しいから、今回は連絡しなくてもいいかな」
「毎回連絡したら保護者も忙しいかな」
あんまり重要じゃないし、欠席確認しなくてもいいじゃないかなって気持ちが芽生えてました。
そんなある日の小話。
生徒が欠席しました。
ちょっと恥ずかしがり屋で、たまに休む生徒です。
いつもの理由かな~と思って保護者に連絡。
保護者
「家を出て学校に行きましたよ」
僕
「!?」
初めてのことで焦りました。
学校には到着していないにしては、時間が経ち過ぎていたからです。
嫌な予感がして、
管理職や副担任に相談し、次の対策を打つことに。
- 本人の携帯電話に連絡(電話をしたがつながらず、メールを打つ)
- 本人が居そうな場所・施設などを保護者に聞いて捜索
- 保護者に、何か変化があったら学校に連絡をもらえるようにお願い
夕方、本人と連絡が取れて学校で面談を実施。
入学してしばらく経つのに、友達ができなくて、学校に行きたくないって気持ちになって辛かったんだそう…。
学級では、いつも通り過ごしているように見えても、悩んでいるものだなって感じた経験でした。
最悪、自殺など命に関わることもある。
可能性はすごく低いけど、発生したら取り返しがつかない。
欠席確認は面倒だけど、必ずやる
教訓として刻まれました。
失敗④ 今後のスケジュール(見通し)を伝えない
その日の流れは、時間割によって決まっていますが、講演会、生徒総会とか、「総合的な探究」の発表など、いつもとは違う日程で進んでいく日があります。
何時にどこに行って、何があるのか、教師は知っていますが、生徒は何も知らない、みたいな状況って意外とあります。
一日の流れが分からないと不安になる生徒はいる
ってのは、覚えておいて良いと思います。
ちなみに、
僕が生徒のときがそうでした。
自分が生徒のときは、教師に「こうして欲しい」って思っていても、自分が先生の立場になったら忘れてしまいがちです。
気づいてからは、
普段と流れが違う場合、1日のスケジュール示す
ようにしました。
教師目線になると、生徒のことが見えなくなるな~と反省。
僕が担当した3年間持ち上がりの学級では、誰も転退学せず、長期欠席者がいなかったのは、こういったちょっとした気遣いが良い影響を与えたのかもしれません。
生徒や保護者、副担任の先生に恵まれた部分も大きいです。
失敗⑤ 遅刻改善を生徒にだけ求める
僕は、教師になりたての頃、変わらないのは「生徒が悪い」と、無意識に決めつけていたところがあったと思います。
こんな意識だから、生徒とうまくいかなかったのかもしれません。
今では遅刻した生徒に「どうして時間を守ることが必要なのか」を考えさせたりします。
生徒が「人の信頼を失うから」など、自分で何か気づきを得るのが目的です。
繰り返して遅刻してしまう生徒に、フレックスタイム制の話をしたこともあります。
フレックスタイム制
労働者自身が日々の労働時間の長さあるいは労働時間の配置(始業及び終業の時刻)を決定することができる制度
出典:Wikipedia
「なんで学校は、フレックスタイム制じゃないのかな?」
みたいな感じですね笑
とにかく考えさせる。
感情的に怒るだけでは、なかなか自己指導能力が育たないので、考えさせるって大切だと思います。
(真剣さを伝えるために、感情を出す必要なときもあると思います)
他にも遅刻を減らす手立てとして、玄関や校門で1カ月間立って生徒を迎えてみるとか、色々な方法があると思います。
それでも生徒が変わらないことっていうのはよくありますが、変わらない生徒を嘆くのではなく、まず自分でコントロールできる所から変えていきたい。
失敗⑥ 出席簿を雑につける
これは僕の失敗というか、周りの先生を見ていて感じた事です。
もともと僕は出席簿への記入が億劫で、”適当に記入したい人” だったのですが、恩師に
「出席簿は裁判にも使われる」
「出席簿をきちんと記入している学級に大きな問題は起こらない」
って言われてから真剣に書くようになりました。
こういった細かいところに気を遣う先生は、生徒の問題が起こることを未然に防いでいたり、問題が起こっても小さな問題で済んでいたりして、問題への対処も早い印象があります。
あくまで僕の印象(と恩師が言っていること)に過ぎないので、科学的根拠はないですが、教師を長くやっている方なら、なんとなくこういった感覚を持っている方が多いのではないかと思います。
出席簿に、生徒の出席状況やその理由を漏れなく書いていると、
「あの生徒は、何限から早退した?」
って小さなことでも生徒に確認を取るようになりました。
こういった行動も、問題発生の減少につながっていたのかもしれません。
学級の生徒たちに
「先生は、あなたたちのこと見ているよ~」
って言葉にしないメッセージが届いていたのかも。
間違いないようにきちんとつけるって意識するだけで、変わるものですね。
やり始めたときは、とても面倒でしたが、やり通して良かったです。
結果として、
僕が担当した3年間持ち上がりの学級では、生徒指導上の特別指導も起こらず、全員卒業してくれました(本当に良かった!)
先生の中には、「キャラ」や「センス」で学級をうまくまとめる先生もいると思いますが、僕には、そんな芸当はできませんでした。
とにかく誰でもできる(けど、面倒で止めてしまう人もいる)ことを、継続できたのが良かったです。
恩師から言われたときも、はじめは半信半疑でしたが、僕はやる価値があると思います。
「確かにそうだ」って思えた人にはオススメします。
「神は細部に宿る」とも言いますし。
知らないうちに、生徒や保護者と関わる際にも、丁寧な対応が現れていたのかもしれません。
【まとめ】失敗に学ぶ、学級経営で大切なこと
失敗① 生徒と会話をしなかった
失敗② 小さなルールも完璧に守らせようとムキになっていた
失敗③ 欠席の連絡なしを軽く考えていた
失敗④ 今後のスケジュール(見通し)を伝えない
失敗⑤ 遅刻改善を生徒にだけ求める
失敗⑥ 出席簿を雑につける
最後に。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし
ではでは。